1. 弁護士嶋原誠逸のブログ

2011-10-18 00:00

法テラス3冊

カテゴリ:未分類

日本司法支援センター(愛称法テラス)についての3冊です。

1 古口章,瀧澤一弘著 『司法制度改革概説5 総合法律支援法/法曹養成関連法』
    (商事法務,初版,2005年)
2 岩瀬外嗣雄編 『市民と司法-総合法律支援の意義と課題』
  (財団法人法律扶助協会,2007年)
3 寺井一弘著 『「法テラス」の飛躍的発展をめざして』(日本司法支援センター,2010年)

1は,法テラスの設置根拠法令である総合法律支援法について,
   検討の経緯・背景
   総合法律支援法の概要
     Q&A
の3部構成にて,簡潔かつ明瞭な説明がされています。

2は,2007年3月末をもって,法テラスへ業務を引き継いで解散することとなった法律扶助協会の時代に編まれた論稿集であり
   司法アクセスの意義と課題
   司法ネットの構築
   民事法律扶助の今後
   刑事弁護への展望
の4部構成にて,さまざまな角度から法テラスの目的と意義,そして今後の課題について検討されています。

3は,2008年4月から2011年3月まで法テラスの理事長を務められた寺井先生(弁護士)による「日本司法支援センターに関するメッセージ集」です。
2005年11月の刑事司法に関するロースクールでの講義録から,2010年7月の「初回相談の資力要件の撤廃」に関する論稿までが収録されています。

図書の表題にもなっています
全国地方事務所所長会議開催に向けて,2010年4月28日付に発せられた
『「法テラス」の飛躍的発展をめざして-新たな段階における日本司法支援センターの課題』が有名です。

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2011-10-04 00:00

大阪弁護士会・犯罪被害者支援委員会編 『犯罪被害者支援センターマニュアル(4訂版)』 (大阪弁護士協同組合,2010年11月)

カテゴリ:未分類

犯罪被害者を支援するための法律の整備に合わせて,マニュアルが改訂されました。
(3訂版までは,大阪弁護士会の会員に無償配布されていましたが,4訂版からはページ数が増えたためか,有償に切り替わっています。)

犯罪被害者を支援するための根拠条文がある法令名を列挙しますと,次のとおりです。

【基本法】
1 犯罪被害者等基本法

【手続法】
1 刑事訴訟法(のうち被害者保護関連,特に被害者参加制度)
2 少年法(のうち被害者配慮規定)
3 心神喪失者医療観察法
4 検察審査会法

【支援立法】
1 犯罪被害保護法
      犯罪被害者等の権利利益の保護を図るための刑事手続に付随する措置に関する法律(特に,損害賠償命令制度)
2 犯罪被害給付法
  犯罪被害者等給付金の支給等による犯罪被害者等の支援に関する法律
3 犯罪被害財産等による被害回復給付金の支給に関する法律

【個別法】
1 DV法
2 ストーカー規制法
3 児童虐待防止法
4 児童ポルノ処罰法

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2011-09-21 00:00

併合9級の歯科医師につき,喪失率70%(目安35%の倍)が認定された事例 大阪地判平成23年4月26日

カテゴリ:交通事故

自保ジャーナル1851号(2011年8月11日)75頁
判時2118号(平成23年9月11日)60項にて紹介されている
大阪地判平成23年4月26日です。

勤務医たる歯科医師が,自転車を運転して,信号機が設置されていない交差点へ進入したところ,左側から減速しないで進入してきた自動車と出会い頭に衝突し,「左手指のしびれ,腰痛」など,併合9級(10級10号+11級7号)の障害が残った事案です。

後遺障害9級の場合,目安となる労働能力喪失率は35%とされていますが,本件では,勤務していた歯科医院を退職せざるを得ず,今後も,歯科医としては稼動することが不可能になった,との認定から,原告主張のとおり,通常の2倍に相当する70%の喪失率が認められました。

逸失利益は,被害者の年齢・職業・後遺障害の部位程度,事故前後の稼動状況等の諸般の事情を総合して判断するところ,
本件では,両手での細かく,正確な手技が要求される専門職たる歯科医師が,今後,当該職業に従事できなくなることが重視されたものと考えられます。

自転車による事故も怖いですね。

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2011-09-20 00:00

会社分割につき法人格否認の法理が認められた事例 福岡地判平成23年2月17日

カテゴリ:企業法務

判タ1349号(2011年8月15日)177頁にて紹介されている
福岡地判平成23年2月17日です。
控訴されています。

濫用的な会社分割に対処する手段としては
1 会社分割無効の訴え
2 会社法22条1項の類推適用
3 詐害行為取消権の行使
4 破産法上の否認権の行使
5 法人格否認の法理
が考えられるところ

本裁判例では,法人格が濫用されており,支配要件,目的要件とも満たすとして,法人格の否認が肯定されました。

原告が債権回収のプロたる整理回収機構であること,パチンコ店を営む被告らが行った会社分割が極めて恣意的なものであることなどが,法人格否認が認められた事情のようです。

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2011-09-19 00:00

貸金業者による事業譲渡と契約上の地位の移転(消極,タイヘイ・CFJ事件) 最判平成23年3月22日

カテゴリ:企業法務, 最高裁判例

判タ1350号(2011年9月1日)172頁にて紹介されている
最判平成23年3月22日(裁判集民登載予定)です。

過払金の返還請求先を巡る紛争であり,結論としては,過払金債権者に厳しい内容となりました。

<判決文>
 貸金業者(以下「譲渡業者」という。)が貸金債権を一括して他の貸金業者(以下「譲受業者」という。)に譲渡する旨の合意をした場合において,譲渡業者の有する資産のうち何が譲渡の対象であるかは,上記合意の内容いかんによるというべきであり,それが営業譲渡の性質を有するときであっても,借主と譲渡業者との間の金銭消費貸借取引に係る契約上の地位が譲受業者に当然に移転すると解することはできない。

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2011-09-18 00:00

業務委託契約の受託者が,労組法上の労働者とされた事例(INAXメンテナンス事件) 最判平成23年4月12日

カテゴリ:労働, 最高裁判例

判タ1350号(2011年9月1日)165頁にて紹介されている
最判平成23年4月12日(裁判集民登載予定)です。

同日の最判・新国立劇場運営財団事件(ブログ2011‐8‐21)は,民集登載予定であり,本判例は,裁判集民登載予定ですが,
実務上は,本判例の事案の方が,汎用性があります。

労働者概念の広狭は
労組法 > 労働契約法・労基法
という枠組みです。

労組法上の労働者であるか否かは,
1 組織的従属性
2 経済的従属性
3 人的従属性
から判断することとなり,

具体的には,
1 企業組織への組入れの有無
2 契約内容の一方的決定の有無
3 報酬の労務対償性の有無
4 諾否の自由の有無
5 業務遂行への指揮監督の有無
の各要素を,契約文言によってではなく,実態に即して判断します。

本判例では,非正規化やアウトソーシングが進み,自前の従業員で遂行することが可能な住宅設備機器の修理補修の業務を,従業員の身分を外した者(カスタマーエンジニア,CE)に行わせ,契約形式を業務委託契約としていた事例につき,労組法上の労働者であることを肯定したものであり,実務上参考となる内容です。

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2011-09-17 00:01

契約締結上の過失責任(不法行為責任)にかかる消滅時効の起算点(関西興銀事件) 最判平成23年4月22日

カテゴリ:企業法務, 最高裁判例

判タ1348号(2011年8月1日)97頁にて紹介されている
最判平成23年4月22日(裁判民集236号登載予定)です。

契約締結上の過失責任の本質は,不法行為責任であり,契約責任ではないと判示したことに続き(民集登載),その3年という比較的短い消滅時効の起算点が問題となったものです(裁判民集登載)。

最高裁としてはじめて,被害者において,加害行為につき(法的な)評価を要する場合における違法性の認識(有無,程度)について判断しています。

1 民法724条の解釈(前提,争いなし)
     「損害及び加害者を知った時」とは,被害者において,単に加害者の行為により損害が発生したことを知っただけではなく,その加害行為が不法行為を構成することをも知った時との意味に解するのが相当である(最高裁昭和41年(オ)第712号同42年11月30日第一小法廷判決・裁判集民事89号279頁参照)。

2 本件の争点
   経営破綻直前の信用組合関西興銀への出資を勧誘することが,説明義務に違反するものとして不法行為を構成する違法なものであることを被害者が「知った」といえるのはいつか。

3 学説多数説
  権利者の主観的認識だけでなく,一般人を基準として認識可能性をも考慮して事項の起算点を判断する。

4 本判決について
  被害者における加害行為の違法性の認識については,
  一般人であれば当該加害行為が違法であると判断するに足りる事実を被害者において認識すれば足りる。
  コメントによれば,本判決は,被害者がそのような事実を容易に知り得る状況に置かれていることが認められれば足りるという方向を指向しているのではないか,とのこと。

  被害者の認識の「程度」については,
  確実な証拠を基に勝訴見込みが立つ程度にまで知る必要はない。

  本件では,遅くとも集団訴訟が提起された時点から進行する。
  刑事事件の訴訟記録の写が,書証として提出されてから,相当期間が経過した後から進行するというのは誤りである。

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2011-09-17 00:00

契約締結上の過失は不法行為責任であり,3年の消滅時効にかかる(関西興銀事件) 最判平成23年4月22日

カテゴリ:企業法務, 最高裁判例

判タ1348号(2011年8月1日)87頁にて紹介されている
最判平成23年4月22日(民集65巻3号登載予定)です。

<判決文本文>
  契約の一方当事者が,当該契約の締結に先立ち,信義則上の説明義務に違反して,当該契約を締結するか否かに関する判断に影響を及ぼすべき情報を相手方に提供しなかった場合には,上記一方当事者は,相手方が当該契約を締結したことにより被った損害につき,不法行為による賠償責任を負うことがあるのは格別,当該契約上の債務の不履行による賠償責任を負うことはないというべきである。

裁判官千葉勝美の補足意見<抜粋>(←本文の解説として分かりやすい)
1 本件は,講学上,契約締結上の過失の一類型とされるものである。
2 法廷意見の骨子
  (契約締結上の過失理論による)義務は,あくまでも契約交渉に入ったこと自体を発生の根拠として捉えるものであり,その後に締結された契約そのものから生ずるものではなく,契約上の債務不履行と捉えることはそもそも理論的に無理がある。
3 契約責任説(我妻説)について
  我妻榮「債権各論上巻」38頁が上げる例(家電製品購入時の使用方法に関する説明など)は,締結された契約自体に付随する義務とみることもでき,契約締結の準備段階を経て契約関係に入った以上,契約締結の前後を問うことなく,これらを契約上の付随義務として取り込み,その違反として扱うべきであるという趣旨にて首肯する。
4 本件について
  本件のような説明義務は,そもそも契約関係に入るか否かの判断をする際に問題になるものであり,契約締結前に限ってその存否,違反の有無が問題になるものである。
  加えて,そのような説明義務の存否,内容,程度等は,当事者の立場や状況,交渉の経緯等の具体的な事情を前提にした上で,信義則により決められるものであって,個別的,非類型的なものであり,契約の付随義務として内容が一義的に明らかになっているようなものではなく,通常の契約上の義務とは異なる面もある。

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2011-09-14 00:00

研修 『中国法実務の基礎』 講師:暁琢也弁護士

カテゴリ:企業法務

大阪弁護士会では,毎年一定時間の研修受講が義務付けられており,年間を通じて多彩な講座が開設されています。

2011年9月12日,暁琢也弁護士による『中国法実務の基礎』がありましたので,聴講してきました。

1 独占禁止法が,07年成立,08年施行されたことにより,必要な法律はほぼ整備された。
2 日本企業から弁護士への法律相談としては,中国から「撤退」する場面が多いところ,これがなかなか容易でない。
3 近時は,中国企業がクライアントとなり,日本企業を訴えるという場面も増えてきた
  (中国企業は,相手方としてだけでなく,クライアントしてもタフである)。
などの話しがありました。

基礎編のため,個別ケースの紹介・分析はありませんでしたが,分かりやすく,かつ,興味深い内容でした。

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2011-09-13 00:00

家事調停申立ての定型書式の変更(送付義務化)

カテゴリ:夫婦・親子, 相続・遺言

2011年(平成23年)10月1日から,家事調停申立書式が変更となります。

 <相続・遺言>
①遺産分割

<夫婦・親子>
①夫婦関係調整(離婚調停)
②婚姻費用分担
③面会交流
④養育費
⑤財産分与
⑥親権者変更

家事審判法が全面的に見直され,2011年5月,家事事件手続法が可決・成立しており,2013年(平成25年)1月からの施行が見込まれています。

新法では,相手方に対する手続保障,手続の透明化の要請から,原則,申立書の写しを相手方へ送付することが義務付けられているところ,新法の施行を待たず,それを先取りする形での実務の運用改善です。

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