倒産手続(全般)


民事再生の財産評定,事業計画案の参考書式

2004年3月17日掲載

 会社の民事再生事件では,再生債務者は,手続開始から約1カ月後に,財産目録・(清算)貸借対照表(124条文書)を提出することが義務づけられています。この文書は,再生手続の根幹をなす重要なもので,手続開始時点における会社の全財産とその処分価格の情報を開示し,後には,再生計画における弁済率が清算(破産)配当率を上回っていることを確認するための根拠資料となり,また,ときには営業譲渡の代金を決定する際の参考となるものです。
 民事再生法では,この文書の書式についてまでは規定していないところ,日本公認会計士協会近畿会から,平成16年2月,「民事再生法における財産評定の参考書式」(Excel形式)としてわかりやすい書式が公表されました。
 また,同会からは,平成14年7月には,「民事再生法における事業計画案の参考書式」(PDF形式)も公表されています。
 いずれの書式も,HP上で公開されていることから,該当のURLと,その掲載誌をご紹介します。


掲載誌
  • 事業計画案 NBL744号30頁
  • 財産評定  NBL781号24頁

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停止条件付き集合債権譲渡担保契約について

2004年3月16日掲載

 停止条件付き集合債権譲渡担保契約が,近時,貸金債権の保全のために用いられており,かつ,形式的な条文解釈では,破産法による否認の対象とならないとも思われることから,この論点について,非常に多数の論考が出されています。
 これらのなかで,現在までの議論の状況をコンパクトに整理し,また,注記にて多数の参考文献の列記があり,結論として74条1項(対抗要件否認)の対象となるとするものに,吉岡伸一助教授の報告(岡山大学法学部,金融法務事情1699号35頁)があります。
 穏健な思考方法と妥当な結論ではないかと思われますので,この論点についての入門・要約文献としてご紹介します。

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監督委員,雑感

2004年3月16日掲載

第1 監督委員とは
 いわゆる通常再生事件では,株式会社が再生債務者となり,負債総額は数億円以上,再生債権者の数も100名を超えるのが普通であることから,裁判所への申立てと同時に,裁判所から監督命令がくだされ,公正中立の第三者としての監督委員が選任されます(民事再生法54条1項)。
 当職も,すでに4案件について,この監督委員に選任されたことがありますが,有している権限は広くない一方で,再生手続において期待される職務内容は必ずしも狭くなく,条文上でも,限られた範囲の同意権限(54条2項,41条)が中核である一方で,広汎な調査権(59条)が認められたりしていることから,実際の職務遂行,ことに再生計画の認可までの行動については,謙抑を旨としつつも,かなりの職務を行ってきたところです。
 そこで,本稿では,そのごく概略を,手続の流れに従って,雑感として述べさせていただきます。
第2 申立て〜手続開始まで
社長,経理・財務担当者との面談
   会社経営もつまるところ人間が行うことであり,再生はいわゆるDIP型であることから,その主役たる社長,手続上は最も重要な補佐役となる経理・財務担当者との面談を行うべきです。
資金繰りの把握
   再生への意欲があっても,手元資金が不足していたり,申立て後,2〜3ヶ月の日々の資金繰りの目処さえ立たないようでは,やはり再生手続を開始することはできないと思われます。
 この点,手続開始の要件が厳しかったころや,会社更生の運用が非常に厳しかった時代にはあまりなかったことですが,申立書に添付されている資金繰表が必ずしも正確に作成されていないと思われるものがあることから,この点は注意が必要です。
資金繰りの裏付けの把握
   当面2〜3ヶ月の資金繰については,数字の正確性のみならず,それがどの程度裏付けのあるものか,についても,可能な範囲で調査することが必要だと感じます。
一般優先債権の把握
   再生手続は,再生債権しか対象としないことから,対象外となる一般優先債権は随時に支払うことが必要であり,通常,再生申立てに至る会社では,消費税や社会保険料を滞納していることが多く,このうち滞納消費税については早めの対処が必要であり,とくに所轄が税務署から国税局へ移管されているときには,特に迅速な対処が不可欠です。
リストラ資金について
   手続開始後に,従業員の方の数を減らす,いわゆるリストラ(整理解雇)を予定しているところも多いかと思われますが,退職金が共益債権となり,これも随時に支払うことが必要であることから,その資金も合理的に見積もっておくべきです。
補助者の活用
   申立てから手続開始までは,約1週間ほどしか時間がないことから,監督委員補助者として,公認会計士(事案の規模などにより税理士)の方の補助を仰ぐ時間がないのが一般的かと思いますが,可能な範囲で,財務諸表(附属明細書を含む)を検討してもらい,会社を訪問してくださるよう依頼しています。
意見書の提出
   手続開始についての意見書を提出します。
第3 手続開始〜124条・125条報告書まで
 手続開始から約1ヶ月後に,再生債務者が作成すべき124条125条報告書の提出期限が定められます。
 124条は,財産目録・(清算)貸借対照表の提出
 125条は,手続開始に至る事情,業務及び財産に関する経過及び現状についての報告書の提出を定めています。
 いずれも再生手続の基礎となる重要な文書であり,とくに財産目録・貸借対照表は,清算価値保障の観点からも,監督委員が後に意見を述べる際に,直接の対象となるものです。
 従って,監督委員としては,意見を述べることが職務とは言え,できれば各文書が当初から実態を適正に反映したものとして作成され,債権者に開示されるのが望ましいことから,再生債務者による裁判所への提出前に,一度,財産の評価方法については意見交換をするよう努めています。
第4 再生債権の認否について
 監督委員として,再生債務者が行った再生債権に認否について,主として形式的事項を中心にチェックするよう求められます(例えば,再生手続では,債権額と議決権額とは分けて認否することになっています)。
 この際,実質的事項についても再生債務者と意見交換することがあり,例えば,根拠資料のないまま,役員個人やその親族から会社に対する多額の貸付金が届け出られているときなど,その取り扱いについて協議することがあります(不認可事由,174条2項3号)。
 なお,自認債権については,議決権はありません。
第5 計画案,提出前の面談
はじめに
   再生計画案の提出期限まで,あと1ヶ月となった時期に,再生債務者から再生計画の骨子・素案が示され,これを監督委員として検討したうえ,裁判所での面談期日が開かれます。
計画骨子・素案の検討
  (1)申立て時点との乖離の有無,その理由
  (2)資金繰りの検証と今後
  一般優先債権,共益債権のチェック
未払いの買掛金がないか注意
  (3)事業収益力,競争力について
    なお,リストラの進捗状況について
  (4)素朴な納得感があるか,また大口債権者の動向
  (5)債務免除益の処理方法
補助者
   この段階に至れば,補助者たる公認会計士(税理士)の方も,相当に事実を把握し,調査報告書案のイメージがあるはずですから,その意見のみならず,把握した経理・財務上の事実についても,ある程度詳しく報告を受けるようにします。
第6 意見書作成
 計画案の提出を受けて,174条2項の事由,とくに「再生計画が遂行される見込がないとき」に該当するか否かについて,補助者の調査報告書をも踏まえて,第4−2と同様の観点にたって,より詳細に意見を述べます。
第7 履行監督
 計画認可後,3年間は,再生債務者の履行を監督し,それを裁判所へ報告する義務があり,再生債務者においても,2ヶ月に1度,監督委員に対する報告が義務づけられています。
 いわゆる低空飛行の会社が多いことから,再生債務者からの定例報告を受け,かつ,各弁済期の前には履行の確実性について,問い合わせ・準備することが必要となります。

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会社更生法の全面改正について

2003年8月7日掲載

 平成15年4月1日から,新しい会社更生法が施行されました。
 旧会社更生法は,昭和27年に制定され,昭和42年に一部改正がされた他は,本格的な見直しがされてきませんでしたが,この度,民事再生法の成立やその運用実績を踏まえて,全面改正がされました。
 新会社更生法のポイントは次のとおりです。

第1 手続の迅速化
  1. 手続開始の要件を緩和
    1. 「更生の見込み」が不要となり,「更生計画案の作成・可決・認可の見込み」となる(41条1項3号)。
  2. 手続開始後1年以内に更生計画案の提出を義務づけ(184条3項)
  3. 更生計画案の可決要件を緩和(196条)
    1. 更生債権者は,2分の1
      更生担保権者は, 猶予──3分の2
        減免──4分の3
        清算──10分の9
  4. 手続の終結時期を早期化(239条1項2号)
    1. 更生計画で定めた金額の3分の2の弁済を終えたとき
第2 手続の合理化
  1. 管轄について
    1. 会社が全国どこにあっても東京地裁または大阪地裁へ申立てが可能(4〜6条)
  2. 手続の透明性確保のため事件関係書類の閲覧・謄写が可能(14,15条)
  3. 更生計画による弁済期間の上限を原則15年に短縮(186条5項)
  4. 更生計画案の決議方法として書面投票(189条2項2号),書面決議(192条)の制度を導入
第3 再建手法の強化
  1. 包括的禁止命令を導入(25〜27条)
  2. 経営責任のない取締役等は管財人等に選任できることを明確化(67条3項)
  3. 更生計画認可前の営業譲渡が可能(46条)
  4. 担保権消滅制度を導入(104〜112条)
    1. なお,商事留置権の消滅請求が保全段階でも可能となる(29条)

参考文献
  • 法務省民事局・深山卓也ほか「新しい会社更生法の概要(1)〜(8)」
    金融法務事情1664〜1771号
    • <コメント>立法担当者による概説
  • 弁護士・一橋大学客員教授永石一郎「改正会社更生法のポイント解説」
    JA金融法務2003年3月号(No.374)
    • <コメント>新旧会社更生法と民事再生法の比較表が分かりやすい

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