「停止条件付き(集合)債権譲渡(担保契約)」に対して否認権の行使が認められました

2004年11月5日掲載

1 最二小判平成16年7月16日・判時1872号64頁,金法1721号41頁
2 最三小判平成16年9月14日・判時1872号64頁

 停止条件付き集合債権譲渡担保契約と,破産法上の否認権との関係については,本HPにおいて,先に(2004年3月16日掲載),上記時点までの議論の状況をコンパクトに整理した論考をご紹介したところですが,今般,最高裁において,平成16年7月16日,同年9月14日と連続して,否認権の行使(72条1号の故意否認)を認める旨の判決が下されました。
 これにて実務上は,否認権の行使対象となることに確定し,数年間の論争に決着がつきましたので,ご紹介します。

最三小判平成16年9月14日
要旨
 債権譲渡人の支払停止又は破産の申立てを停止条件とする債権譲渡契約に係る債権譲渡は,破産法72条2号に基づく否認権行使の対象となる。
事案
 破産会社は,寝具類及び衣料品の販売等を業とする会社であるが,平成7年7月13日,上告人らとの間で,破産会社が上告人らに対して負担する一切の債務の担保として,破産会社の特定の第三債務者らに対する売掛債権を,上告人らにつき各5000万円を限度として譲渡することとし,その債権の譲渡の効力発生の時期は,破産会社において,破産手続開始の申立てがされたとき,支払停止の状態に陥ったとき,手形又は小切手の不渡処分を受けたとき等の一定の事由が生じた時とする旨の契約(以下「本件債権譲渡契約」という。)を締結した。
 破産会社は,平成11年7月1日,支払停止の状態に陥った。
 上告人らは,同日,破産会社から付与された権限に基づいて,破産会社に代わって,上記第三債務者らに対する確定日付のある証書による債権譲渡の通知をした。
 上告人らは,同年9月から10月までの間に,上記第三債務者らから譲受債権の弁済を受けた。
 破産会社は,平成12年3月22日,大阪地方裁判所において破産宣告を受け,被上告人が破産管財人に選任された。
争点
 被上告人は,本訴において,上告人らに対し,本件債権譲渡契約に係る債権譲渡については破産法72条1号又は2号に基づき,債権譲渡の通知については同法74条1項に基づき,それぞれ否認権を行使し,不当利得返還請求権に基づき,譲受債権の弁済として受領した金員の支払を求めている。
判旨
 破産法72条2号は,破産者が支払停止又は破産の申立て(以下「支払停止等」という。)があった後にした担保の供与,債務の消滅に関する行為その他破産債権者を害する行為を否認の対象として規定している。同号の規定の趣旨は,債務者に支払停止等があった時以降の時期を債務者の財産的な危機時期とし,危機時期の到来後に行われた債務者による上記担保の供与等の行為をすべて否認の対象とすることにより,債権者間の平等及び破産財団の充実を図ろうとするものである。
 債務者の支払停止等を停止条件とする債権譲渡契約は,その契約締結行為自体は危機時期前に行われるものであるが,契約当事者は,その契約に基づく債権譲渡の効力の発生を債務者の支払停止等の危機時期の到来にかからしめ,これを停止条件とすることにより,危機時期に至るまで債務者の責任財産に属していた債権を債務者が危機時期に至ると直ちにその責任財産から逸出させることをあらかじめ意図し,これを目的として,当該契約を締結しているものである。
 破産法72条2号の規定の趣旨及び上記契約の内容,その目的等に照らすと,上記契約は,同号の規定による否認権行使の実効性を失わせ,これを潜脱しようとするものといわざるを得ず,その契約内容を実質的にみれば,上記契約に係る債権譲渡は,債務者に支払停止等の危機時期が到来した後の債権譲渡と同視すべきものであり,上記規定に基づく否認権行使の対象となると解するのが相当である(最高裁平成13年(受)第1797号同16年7月16日第二小法廷判決・裁判所時報1368号327頁参照)。
参考文献
  • 金法1721号,巻頭にて特集

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